ごみ問題対策と日本の支援
レポーター: 京都市役所 田中 翔子 さん (2021年執筆)
(2017年~2019年当時はJICA海外協力隊のボランティア隊員としてフィジーに派遣されました)
どうやってごみ問題を解決しようとしているの?
フィジーのナシヌーが使っていた埋立処分場は、海外の資金提供によって造られました。
しかし埋立処分場は、いつかはごみで満杯になってしまいます。
新しく埋立処分場を造るためには費用がたくさん必要で、フィジーではそんなお金はありません。
日本の福岡方式で埋立処分場の問題解決にチャレンジしているよね。その他にフィジーに協力していることは?
少しでも埋立処分場を長く使えるように、さらに環境を汚染しないように、日本は人手、技術、お金の支援をしています。
人手の支援としては、例えば、私のような海外ボランティア隊員を派遣し、地域の中で問題解決に向けて活動します。私は地域のメンバーの1人として、ごみ問題を解決するための糸口を一緒に考え、行動しました。
技術の支援としては、日本の廃棄物処理に優れた自治体の方をフィジーに派遣し、フィジーの廃棄物処理の課題や悩みに対して、技術面でのアドバイスを行っています。反対にフィジーの人たちが日本に来て、廃棄物処理の設備を見たり、ごみの収集など処理の流れを見学し、技術や知識を学んでいます。
また、生ごみを堆肥化するコンポストの正しい作り方、それを商品化できるようにするための運用方法も教えています。
私の同僚だったフィジーの人達も1ヶ月間、日本へ研修に行きました。
研修から戻ってくると、ごみや環境に対する意識や考え方が変わり、ごみを削減するにはどうしたらいいか、積極的になりました。
例えば、志布志市ではこんな支援をしているようだよ!
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志布志市
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お金の支援としては、日本政府から資金協力として、ごみ収集車を2台寄贈しました。
ナシヌーではごみ収集車が不足して困っていましたが、新しく買うためにたくさんのお金が必要で、なかなか買うことができませんでした。
日本からフィジーに寄贈されたごみ収集車
日本のごみ収集車が来て、何が変わったの?
それまでは、ナシヌーでは10万人の人口に対して、3台しかなかったごみ収集車が2台増え、全部で5台になりました。
2台増えることで、効率よくごみを収集して、埋立処分場に運べるようになりました。
フィジーでは、プラスチックごみを減らすためにどんな工夫をしているの?
プラスチックのごみが出ないように、
無料で気軽に手に入っていた使い捨てのレジ袋が2018年から有料になりました。
2020年からは、レジ袋の販売を禁止しました。
人々が買い物をする際はマイバッグを持参するようになり、ごみを減らす努力をしています。
マイバッグを持っていくと、
どうしてプラスチックのごみを減らすことになるの?
環境を考えて行動する人を育てよう!
CSPとはClean School Programといって、学校で子どもたちに環境教育することを通じて、家庭やコミュニティ全体の環境意識を高め、環境行動が出来る人を育てることを目的としたプログラムです。
このプログラムは、昔フィジーで活動していたJICAボランティアが考えました。
どんなことをするの?
小学校や中学校で、環境問題解決のために取り組んだ活動を採点し、表彰します。
そもそも環境教育をしていない学校もあるので、まちの小学校や中学校を訪問して、CSP(Clean School Program)について説明し、参加をお願いします。
小学校でCSP(Clean School Program)を授業
その時に環境教育について、すでにやっていることや、やりたいけれどできていないことをヒアリングします。さらに活動についてアドバイスし、時には足りないものを支援しながら、定期的に各学校を調査します。
学校で環境教育が広がるね。
例えばある学校では、ごみの分別ボックスを設置して、子どもたちは分別について学んでいました。
分別ボックス設置前
分別ボックス設置後
どうして学校で分別を学ぶの?
お家ではごみの分別をしていないので、とても良い学びになっています。
古紙やペットボトルを分別し、分別した古紙は古紙会社へ、ペットボトルはペットボトルで飲み物を作る会社にリサイクルを依頼すると、有料で買い取ってくれます。
リサイクルで得たお金は、学校の資金になります。
例えば、ごみの分別をしていなかった学校に、ごみ分別ボックスを支援しました。
すると、分別がその学校での取り組みの1つになりました。
分別してリサイクルに協力することで、そんなメリットもあるんだね。
その他にどんな活動をしていたの?
多くの学校が取り組んでいたことは、花だんや校庭でのリユース活動です。
使い終わったタイヤをリユースして、植木鉢や校庭のアートにしていました。
また、使い終わったもので美術の授業をしていました。
使い終わったタイヤをリユースして植木鉢に
わぁ! 何だか楽しそう!
このような学校のCSP(Clean School Program)を、国や町役場の方が点数をつけて、優れた学校を表彰します。
CSP(Clean School Program)の表彰式
表彰式では、どのような活動をしているのかを発表し、他の学校へアドバイスもします。
他の学校はそのアドバイスを参考にしながら、次の年に優勝するために頑張っています。
1つのまちで始まったCSP(Clean School Program)は、今では多くのまちで実施されています。
この活動に関連するSDGsの目標があるよ!
何番だと思う?
田中さんはこの活動でどんなことをしていたの?
私はごみを削減したいフィジーのような発展途上国を支援する日本政府の機関の中で、国づくりや人づくりに協力する海外ボランティア隊員として、活動しました。
環境分野に関する仕事の経験を生かして、主にこの2つのことに取り組みました。
1つ目は、3Rの推進です。
ナシヌーでは、分別回収をしていないため、分別の意識や理解がほとんどありませんでした。
そこで、職場でその意識が根付くように、分別活動を行いました。
2つ目は、CSP(Clean School Program)の実施です。
学校で子どもたちに3R(リデュース、リユース、リサイクル)を理解してもらえるように、CSP(Clean School Program)について授業しました。また、子どもたちが私のような隊員がいなくても活動を続けることができるように、わかりやすいチラシを作って配りました。
CSP(Clean School Program) の教材
私たちにできることを教えてください!
ごみ問題などの環境問題を、他人ごとだと思わないことです。
「誰かが」「いつか」「解決してくれる」と。
未来の地球に住むのは、皆さんと皆さんの未来の子どもたちです。
We do not inherit the Earth from our ancestors, we borrow it from our children.
「この地球は、先祖から継承したのではなく、私たちの子どもたちから借りているのです」というネイティブアメリカンに古くから伝わる言い伝えがあります。
この素敵な地球を未来の子どもたちにつなぐためにも、一人一人の行動が未来を変えます。
例えば、ご飯を残している人はいますか?
日本でも全体のごみの量の30~40 %は生ごみです。
生ごみを減らすためには、アレルギーになる食べ物などを除いて、できる限り食べ残しをしないようにご飯やお菓子を食べましょうね。
外食する時は、自分が食べられる量を注文しましょうね。
一緒に頑張りましょう!
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