フィジーのごみ処理は?
レポーター: 京都市役所 田中 翔子 さん (2021年執筆)
(2017年~2019年当時はJICA海外協力隊のボランティア隊員としてフィジーに派遣されました)
ごみの分別は?
フィジーには分別のルールはあるの?
ナシヌーでは家庭ごみ(生ごみ、紙ごみ、プラスチックなど)、木くずなどの剪定ごみ、家電製品や家具やタイヤなどの粗大ごみの3種類を回収しています。
(ごみの分別は地域によって違いがあります。)
指定のごみ袋はなく、白や透明の袋に入れてごみ出しします。
たしか、昔のフィジーは生ごみや木くずしか出なくて、ポイ捨てだったね。
今はごみ出しする場所は決まっています。
週2回、指定の場所にごみ出しします。
ポイ捨てが問題になっていたね。
ポイ捨てされたごみの中にはプラスチックごみが多くあります。
プラスチックは自然のなかで小さく細かくなるものの、自然循環の中で分解されないため、長く自然界に残り続けるものもあるといわれています。
ポイ捨てされたプラスチックは、雨や風で川に流され、海に流れつきます。
川や海に浮いたプラスチックは、エサと間違えて魚が食べたり、海中のプラスチックごみにからまったりして、川や海の生き物たちが死んでしまうこともあります。
また、フィジーの首都スバの近くでは急激な人口増加で、下水の処理能力が限界になっていること、設備が古くなっていることなどが原因で、十分な汚水処理ができず、汚水のもれ出しによる悪臭等の環境悪化もあります。
昔は、近所の海で魚を捕って食べていたというフィジーの人たちは、今では海が汚いので、遠くまで船を出して捕っているそうです。
海では、子どもたちが休みの日になると海水浴をしています。
フィジーは、観光地でもあるので、観光地のあるホテルや遠くの海はとても青く澄み切って、とても綺麗な景色が広がっています。
しかし、地元の子どもたちが遊ぶ海は、とても汚く、日本の子どもたちであれば、遊ぶのを考えてしまうと思います。
海洋汚染は、フィジーの魚たちが住める場所をなくしているだけではなく、フィジーの人たちの生活にも大きな影響が出ています。
海はフィジーの人達の食べ物を捕る場所だけでなく、子どもたちの遊び場だよ。
上の文章はSDGsの目標のどれに関係しているかな?
ごみの処理は?
お家から出たごみのゆくえは? どうやって処理されているの?
ナシヌーのお家から出た家庭ごみは、ナシヌーの町役場の人がごみ収集車で収集します。
フィジーは清掃工場がありません。
ペットボトルやアルミ缶はリサイクル原料として企業に売っていますが、その他は、埋立処分場へ運ばれ、燃やさずにそのまま埋められます。
燃やさずに、そのまま埋めている!
フィジーは小さな島だよね。
そんな小さな島にごみをどんどん埋めたら、自然はどうなるかな?
多くの埋立処分場では、適正な処理や管理が徹底されていないため、ごみの中に雨が降って染み出てきた汚れた水が、周辺の環境を汚しています。
汚れた水はどこに行くのかな?
近くに住んでいる人や動物にどんな影響があるのかな?
そこで一部の埋立処分場では、日本で開発された「福岡方式」で、この問題を解決しようとしています。
えっ!日本の福岡県と関係があるの?
どうやって問題解決しようとしているの? 調べてみよう!
広げふかめよう |
政府広報オンライン
|
福岡市
|
ナシヌーは剪定(せんてい)くずも集めていたよね。
一部の地域では、木くずなどの剪定ごみを砕いたり切って、小さくしています。
それを公園の植林で使っています。その他にも燃料として使用しています。
リサイクルは、ごく一部でしかやっていません。
主に古紙のリサイクルです。古紙は、トイレットペーパーや包装資材として生まれ変わります。
フィジーでは、ペットボトルをリサイクルする工場がないため、一部の企業が外国に輸出して、海外でリサイクルします。
リサイクルするために輸出!
しかし、課題もあります。
海外でペットボトルをリサイクルするためには、海外へ使い終わったペットボトルを輸送するお金が必要なため、なかなか他の企業での分別回収が広まっていないのが現状です。
自分の国だけで解決することは難しいようだね。
1つの国で解決が難しいなら、たくさんの国に協力をお願いして、みんなで考えるのはどう?
うん。日本にも関係ないって言えない。
海洋プラスチック問題のように、海はつながっているから。
それなら!! 日本が協力していることがもっとあるかも!
つぎのページで調べてみよう!