4R's(フォーアール)
レポーター: ウィットワース真弓 さん (2015年執筆)
サンフランシスコ市では、ゼロウェイスト(うめ立てゼロ)を目ざして3Rにもう一つ加えて、4つのRで活動を進めています。
Reduce(リデュース)
むだな買い物はせず、同じものを長く使うことなどによって、ごみの量をへらすこと。
また、エコバック、おはし・ナイフ・フォーク(カトラリーといいます)、水とうなどは自分で持ち歩き、使いすてにしないことも広がっています。
サンフランシスコ市では、2006年に発ぽうスチロールよう器が禁止されました。
2007年からはレジぶくろが有料化されました。
さらに2014年には、市役所や、コンベンションセンター(てんじ・会議場)などのサンフランシスコ市の所有する建物や広場ではペットボトルを売ることも禁止されました。
「いちどしか使用しないレジぶくろは、もうやめよう」とうったえています。
「水とう」の利用がこんなに便利!
「水とう」に水を入れる場所がデパート、空港、市役所、会社、学校など、いたるところにあります。
「水とう」に水を入れているようす(サンフランシスコ空港にて)。
量り売りコーナーが増えています!
サンフランシスコに拠点を置く「レインボーグロッサリー(Rainbow Grocery)」や全米展開する「ホールフーズマーケット(Whole Foods Market)」というオーガニックスーパーマーケットを中心に量り売りのコーナーが増えています。
食品(小麦粉、豆、ナッツ、コーヒー、お茶、米、めん類、ドライフルーツ、お菓子、ハーブ、香辛料、オリーブオイル、酢、はちみつ、みそ、しょう油などほぼ何でも)からバス用品までが量り売りされています。
バス用品や洗剤専門のリフィルのお店「グリーン11(Green 11)」もサンフランシスコ発です。
また週末のファーマーズマーケットに行けば野菜やフルーツなどのバラ売りコーナーがたくさんあります。
持ち帰り用の入れ物も置いてありますが、よう器を持参する人も増えてきています。ふだんではごみとなってしまうパッケージやプラスチックのよう器のむだを減らすことができます。
オーガニックスーパーマーケットのようす。
同左
ファーマーズマーケットのようす。
リフィルのお店「グリーン11」のようす。
「グリーン11」にてシャンプーを詰めてもらうところ(リフィル)。
国際グリーン賞最優秀賞を受賞したベア・ジョンソン(Bea Johnson)さんも、プラスチックなどのごみを減らすには、バラ売り・量り売りは不可欠と彼女のブログや本で提案しています。
ベア・ジョンソンさんが、スーパーでの買い物の方法を教えてくださいました。写真は持参の布の袋にフルーツを入れているところ。
オレンジジュースを持参のびんに入れているところ。
量り売りのコーンフレーク、ナッツ、お米、小麦粉はこのようにして入れます。
月桂樹の葉を入れているところ。
Reuse(リユース)
くり返し使ったり、必要な人にゆずったりすることで、ごみが出ないようにすることです。
サンフランシスコ市では、まだ使えるものを売り買いするいろいろな方法があります。
- 洋服から家具、電化製品、家庭用品、古本など、あらゆるものをあつかうリサイクルショップの一つに「グッドウィル(Goodwill)」があります。
商品はすべて寄付されたもので、とても安いねだんで売られています。アメリカ中に多くのお店があります。
- 無料で利用できるホームページに売り買いのお知らせを出すこと。
サンフランシスコ市のベイエリア地域で始まった「クレイグスリスト(Craigslist)」というウエブサイトが最大手で、アメリカにとどまらず世界各国の約600を超える都市で利用されているそうです。
- ガレージセールといって家の車庫、庭などで必要のないものを売ること。
- 週末のフリーマーケットで売り買いすること。
ガレージセールのようす
ごみが芸術作品に変身!
サンフランシスコ市にはもう一つおもしろい取り組みがあります。
それは、ごみの山からほり出した材料で、新しく芸術作品を作り上げることです。
市のトランスファーステーション(通称「ザ・ダンプ(The Dump)」と呼ばれ、さまざまな種類のごみが集められリサイクル資源に仕分けされる作業場)では、アーティストがその中に制作きょ点をおき、つねに作品づくりに取り組んでいます。
アーティストの一人、マイケル・アルセガ(Michael Arcega)さん。2015年2月~5月までの期間ここで制作し、最後に展示会を行ないます。写真は全てごみだったものを集めたもの。どんな作品ができるのでしょう!
過去のアーティストの作品の例
クマ。材料の木がゴミだったとは想像がつきません。
モザイクのアーチ。
親子を表現しているそうです。
地球のなみだ。ぜんぶプラスチックのボトルでできています。
Recycle(リサイクル)
資源にもどして新しい製品を作ること。
作業場で働く人の手で種類別に分けられた後、次のように再生されています。
ペットボトルは、以前は中国へ送られていましたが、2012年にできた地元のリサイクル工場にて再生されるようになりました。ペットボトルを年間20億個も処理する世界でもまれに見る「カーボンライト(carbonLITE)社」の大きな工場です。
その他のより強固なプラスチック資源は、建築資材や、よう器などに再生されています。
ガラスはカリフォルニア州内の工場で、新しいガラスのボトルやよう器などに再生されます。
スチール缶とアルミ缶は、何度でも永遠に100%の再生が可能で、他州の工場で新しい資材に再生されています。缶や、アルミホイルなど、元のすがたへ再生されています。アメリカでは、リサイクル資源の中で最も再生されいる資源です。
紙は、コストの関係から中国、フィリピン、ベトナム、韓国に輸出されます。
リサイクルをすることによって、はじめから新しい物を作るよりも、缶類は95%以上、プラスチックは90%、紙は40%、ガラスは30%のエネルギーの節約になります!
たとえば、アルミ缶を一つリサイクルするだけでテレビが3時間見られるほどのエネルギーの節約ができたり、1トンの紙をリサイクルすると紙の原材料である木を17本も切らずにすみ、使用される水も半分で足りるとの具体例も報告されています。
働く人の手でリサイクルできるごみを種類別に分けているようす
種類ごとに分けられたリサイクル資源。
ここからリサイクル工場に運ばれます。
Rot(ロット)
コンポストになる持ち帰り用のよう器、フォーク、ナイフ、ごみ収集ぶくろなど
生ごみをコンポスト(たい肥)にして、土に返すこと。キッチンの生ごみ、庭の草に加え、年初めには使用後のクリスマスツリーも多く見られます。
その他に持ち帰り用のよう器、フォーク、ナイフ、ごみ収集ぶくろまでもがトウモロコシなど植物材料でできているものを入手できるようになりました。
これらはすべて生ごみといっしょにコンポストにして土に返すことができます。
2009年から生ごみの分別収集が義務化されました。アメリカで義務化されているのは、サンフランシスコ市だけです! カリフォルニア州のその他の多くの市も検討中です。
仕分け作業場に届いた生ごみの山
ここ(写真)から、生ごみ処理専門の作業所へトラックで運ばれます。
出き上がったコンポスト(たい肥)は、地元の農家、ワイナリー(サンフランシスコの近郊は、ワインの生産で有名です。)などで利用されます。
コンポストは、ワイン用のぶどう畑でぶどうの木と共に植えられる植物のたい肥として利用されています。
コンポスト(たい肥)は、家庭でもできます。アメリカでは、ミミズを利用する方法が広く使われています。
市民への教育もさかんで、コンポスト教室が地元のデモンストレーションガーデン(実演用の庭)で無料で開かれています。
生ごみからできたたい肥で、家庭菜園も楽しそうですね!
コンポスト教室のようす。
市内のデモンストレーションガーデンの一つ、Garden for Environment(ガーデンフォーエンバイロンメント 通称:GFE)が行っているコンポスト教室のようすです。黒い入れ物の中に、ミミズが入っています。生ごみを食べてくれます。