cjc | 1月号-3
 
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平成16年度調査研究成果報告(その2)

 平成16年度に当センターで実施した調査研究の一部については前号でご報告したところですが、今号でも引き続き2課題についてご報告します。なお、これらの成果報告書(一部のものについては概要のみ)については、当センター内の環境情報リサイクルセンターで閲覧・入手することができます。

平成16年度循環型製品・システム市場化開発調査
(経済産業省委託事業)

 本開発調査は、リサイクル品又は易リサイクル品の試作を行うとともに、品質評価、社会受容性調査、さらには試作品等を用いた展示会による普及啓発の実施等を行うことにより、廃棄物の用途開発・拡大を図り、リサイクル品又は易リサイクル品の市場での流通を拡大させることを目的として実施したものである。

1.実施内容

(1)試作品の製造
  リサイクル率が低い等今後一層の3Rの推進が必要な廃棄物等を原料とした3R製品の試作や3Rしやすい製品の試作を行う。
(2)品質等評価(性能試験、安全性試験)
  廃棄物を利用した試作品の性能や安全性等の品質評価を行う。その際、リサイクルしやすい製品の試作品においては、リサイクルのしやすさを従来品と比較検討を行い評価する。
 

(3)社会受容性調査

  試作品について、製品の需要、品質、製造コスト等を総合的に評価し、社会受容性を検討するとともに、標準化の必要性及び可能性など、今後廃棄物の新規用途の開発・拡大等を進めていく上で必要な課題を整理する。
(4)試作品の展示
  試作品を展示会に出展することにより広く需要拡大を図る。

2.実施結果

  平成16年6月より各テーマについて調査が開始され、平成17年3月まで鋭意実施された。これらの成果を下記の表に概説する。

テーマ 燃え殻・鉱さいを非加熱方式にて再生したコンクリート用骨材及びその使用品の市場化
委託先 伊那石産工業株式会社
試作品の製造 産廃焼却施設より発生した燃え殻を非加熱方式で造粒機にてコンクリート用骨材を試作した。
品質評価 試作したコンクリート用人工軽量骨材の品質・安全の評価試験を行った。更に生コンクリート及びコンクリート二次製品に使用し品質・安全の評価試験を行ったところ、品質的にも安全性の上でも問題無いと判定できた。
社会的受容性 コンクリート用人工軽量骨材としてだけではなく、下層路盤材としても適していることが分かった。今後安定した品質確保のため、管理の徹底と設備の増設を図り、安全性のPRと公的機関の認証取得等を行っていくことにより市場は拡大すると考えられる。

テーマ パート・ド・ヴェール技法を用いた透光性を確保した廃棄ガラスの再生利用
委託先 クリスタルクレイ株式会社
試作品の製造 廃ガラス(特に板ガラス)100%を原料として用い、工芸技法であるパート・ド・ヴェール技法を工業化するために、鋳型開発及び熱プログラム試験を行った。また、製品及びそれを用いた空間の実践例を試作した。
品質評価 不透明性を帯びるガラスほど結晶が析出されていることがX線解析試験から明らかになった。また、圧縮強度試験の結果、普通板ガラスの1/4~1/5であることが明らかとなった。
社会的受容性 半透明性を帯びたガラスのボリュームを建築及び照明材として利用する需要が寄せられている。また、環境教育のための素材としても活用できる。

テーマ 使用済み潤滑油と廃食料油による良質燃料油の製造に関する調査・研究
委託先 株式会社新日石総研
試作品の製造 使用済み潤滑油と廃食料油を混合して、環境負荷の少ない燃料油の製造を行った。
品質評価 使用済み潤滑油と廃食料油の混合安定性及び貯蔵安定性は良好である。また、混合油の燃焼特性は、A重油と比較してもほぼ同等である。
社会的受容性 現在の再生重油の使用用途である直火使用工業炉(アルミ溶解炉、セメント焼成炉等)において使用が見込める。再生重油の需要は供給を上回っているので販路の拡大が期待される。

テーマ 解体系廃石膏ボード等の再生技術と循環システムの開発
委託先 株式会社竹中工務店
試作品の製造 建築物の解体現場内で廃石膏ボード等を破砕・選別して再生製品の原材料を製造し、建材メーカー等と提携して、耐火被覆板、吹付け耐火被覆材等の製品を試作した。
品質評価 耐火被覆板の性能確認を行った上で、1時間耐火の製品を試作しており、製品の組立て方法施工効率等の確認試験により性能の確認をしている。
社会的受容性 製品の製造コストの検証中であり、予定どおりの製造コストであれば、施工効率の良さを考慮して、従来の製品以上に普及させることが可能である。

テーマ 無機系廃棄物を混合した多機能建設資材の製品開発
委託先 株式会社フジタ建材
試作品の製造 無機系廃棄物を利用したポーラスコンクリートの吸音材を試作した。
品質評価 無機系廃棄物を利用した吸音材を試作し、吸音率の測定、フィールド実験を実施した。特に低周波領域において効果が高いことを確認した。
社会的受容性 不特定多数に各種展示会(エコプロダクツ・国土建設フェア等など)で実験装置により吸音性を実感していただいた。設計者への理解浸透により需要拡大が可能である。

テーマ 「廃棄消火器」と「し尿」との組合せによる液肥利用(農地への還元技術)と廃棄消火器回収システムの構築
委託先 株式会社モリタ
試作品の製造 リン酸成分が少ない「し尿液肥」の有効利用のため、化学肥料ではなく、リン酸成分に富む廃消火器由来の「消火薬剤リサイクル肥料」とを組合せ、肥料成分調整の実証検証を行い、「し尿配合液肥」を製造した。
品質評価 「消火薬剤リサイクル肥料」を配合した「し尿配合液肥」は、化学肥料による追肥での肥料調整を必要とせず、安全でかつ化学肥料削減が可能となる肥料であることが証明された。
社会的受容性 高コスト、高エネルギーを要するし尿処理対策として、安価な高温好気生物処理によるし尿液肥化の促進に鑑み、同不足肥料成分を化学肥料ではなく、廃棄物処理されていた消火薬剤リサイクル肥料を用いた。消火器リサイクル率が低い九州地区内の地域内消火器回収システムを構築することで、高コスト、高エネルギーを消費する関東圏、関西圏への回収が不要となる。下水処理率が低く、農地需要が多い、九州地区内での地産地消を実現するべく、し尿の液肥化処理と廃消火薬剤リサイクル処理事業の可能性が示された。

平成16年度産業廃棄物(鉱業廃棄物)・
有価発生物の動向調査(経済産業省委託事業)


 当センターでは、産業廃棄物(鉱業廃棄物)・有価発生物の動向調査を経済産業省から受託して、毎年実施しています。
  本調査は、主として業種団体の協力を得てその会員企業から提出いただいたデータをもとに、産業廃棄物(鉱業廃棄物)・有価発生物の発生、再資源化、最終処分の状況などを整理しています。
  本調査で対象とする廃棄物等の種類は、主として製造プロセスから発生する産業廃棄物ですが、「事業系一般廃棄物」とされる、包装梱包資材に使用される紙、木材で製造プロセスから発生するものも対象としているところに特徴があります。
  以下に16年度に実施した調査の概要を紹介します。
  平成15年度の製造業等(調査対象業種のうち鉱業廃棄物を除く製造業、電気業、ガス業の合計)の産業廃棄物・有価発生物の発生量は、
  232,939千tで、内訳は、産業廃棄物が156,370千t、有価発生物が76,569千tとなっています。
  発生量は微増傾向にあるものの、再資源化量や中間処理により減量された量の増加により、最終処分量は減少傾向にあります。
  ○発生量は若干増加(前年比1%増)
  ○最終処分量は減少(同7%減)
  ○再資源化量は若干増加(同0.4%増)
  ○中間処理による減量は増加(同2%増)
  発生量の多い産業廃棄物等の状況は、①汚泥、②鉱さい、③ばいじん、④金属くず、⑤紙くずとなっています。
  これら5種類の産業廃棄物等の処理状況を見ると、汚泥は中間処理(脱水及び焼却等)により88.7%減量されています。一方、鉱さい、ばいじん、金属くず、紙くずは、再資源化率が高くなっています。

■産業廃棄物調査
産業廃棄物調査

■主要5種類の処理状況(平成15年度・拡大推計値)

主要5種類の処理状況(平成15年度・拡大推計値)

 





クリーン・ジャパン・ニュースレター[No.14]3

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