cjc | 6月号-4-5
clean japan news letter

CJCにおける調査研究・環境リサイクル情報センター事業の概要


 循環型社会の構築に必要な政策を立案したり、対策を実施する際に有用な基礎的情報を提供することを目的として以下の調査研究を実施しました。また、これらの成果に加え、様々な3R情報を環境リサイクル情報センターから発信しています。


1. 調査研究の概要


(1)循環型製品・システム市場化開発調査(経済産業省委託事業)

  再生資源の新規用途の開発・拡大等を図るために、以下の6事業について廃棄物を使用した試作品の製造、性能試験、市場調査等の運営管理を行うとともに、エコプロダクト展に試作品等を展示し、多くの人達にその成果を啓発普及しました。
①燃え殻・鉱さいを非加熱式方式にて再生したコンクリート用骨材及びその使用品の市場化(伊那石産工業株式会社)
②パート・ド・ヴェール技法を用いた透光性を確保した廃棄ガラスの再生利用(クリスタルクレイ株式会社)
③使用済み潤滑油と廃食用油による良質燃料油の製造に関する調査・研究(株式会社新日石総研)
④解体系廃石膏ボード等の再生技術と循環システムの開発(株式会社竹中工務店)
⑤無機系廃棄物を混合した多機能建設資材の製品開発(株式会社フジタ建材)
⑥「廃棄消火器」と「し尿」との組合せによる液肥利用(農地への還元技術)と廃棄消火器回収システムの構築(株式会社モリタ)

(2)バイオマス高度リサイクル技術の開発状況調査(高度資源循環技術の開発状況調査:日本自転車振興会補助事業)

  バイオマス資源のエネルギー利用技術及びマテリアルリサイクル技術の全体観を整理したうえで、現在稼働中の木質系廃棄物、動植物性残渣の直接燃焼及びメタンガスへの物質変換(メタン発酵)を経由しての発電、蒸気によるエネルギー回収施設の中から、技術、立地、将来性等の観点から顕著な特長のある施設を選定し、事業性の分析、類似施設導入の際の留意事項をまとめました。主な結果の概要は以下の通りです。
  ①メタン発酵は、技術的にはある程度確立しているが、今回調査した食品廃棄物等の事例で実際に運用されているプラントでは、事業収入は廃棄物の受託処理収入が中心となっており、エネルギー販売による収入は10%程度にすぎない。また、堆肥販売等他の副産物による収入も販路の確保や価格等の問題で収益への寄与は少ない。②一方、直接燃焼は、技術的には成熟した技術でありRPS法の施行の影響もあり、全国的に導入が進められている。バイオマスの集積度に応じて1事業者による実施又は複数事業者が組合化して実施しているが、発生エネルギーの自家消費を優先し、その上で余ったエネルギーを販売することでほぼゼロ~トン当たり数千円程度の廃棄物処理料金を徴収する程度で事業が成立している。

(3)飲料・食品容器の回収・リサイクルシステムの現状調査(新規資源循環システムの形成に関する調査研究:日本自転車振興会補助事業)

 
容器包装リサイクル法の対象外であるオフィス、店舗、自動販売機に設置された回収ボックス等から回収された事業系容器包装廃棄物(缶、びん、ペットボトル、紙パック等)の実態を明らかにするために、調査に適切な規模のモデル自治体を東京近郊から選定し(習志野市)、同市内の事業者からの飲料・食品の容器包装廃棄物の排出、回収、リサイクル状況についてアンケート調査及びヒアリング調査を実施しました。そのうえで家庭系のものを加えて同市内における全体のマテリアルフローを把握し、今後の回収・リサイクルのあり方について検討を行いました。主な結果は以下の通りです。

  ①びん、缶は事業系においても、家庭系を含めた全体のマテリアルフローでみても回収・リサイクルが進んでいる。②ペットボトルは資源ごみとして回収されていはいるものの可燃ごみとして焼却処理されているものも少なくない。③紙パックは、事業系の場合、25%程度しか回収・リサイクルされていない。④習志野市においては、事業系容器包装廃棄物のリサイクルにおける市の役割が大きい(事業系容器包装廃棄物の市の施設への受入を実施)。⑤店舗や自動販売機に設置された回収ボックスが一定の役割を果たしているが、家庭ごみの混入などが課題となっている。

(4)自主回収システムに係る法規制と特例制度の活用に関する調査研究(使用済製品の自主回収システムの構築支援事業:日本自転車振興会補助事業)

  事業者が、使用済みとなった自社製品の自主回収・リサイクルシステムを構築することを支援するために、想定されるシステムを類型化したうえで廃棄物処理法の規制並びに特例制度について具体的事例を取入れながら解説した。また、既に構築、運営されている自主回収・リサイクルシステムの事例を調査し、今後、同様なシステムを構築しようとしている事業者に役立つよう整理し、解説した。主な内容は以下の通りです。
  ①「下取りによる自主回収システム」、「廃棄物処理業の許可による自主回収システム」、「広域認定制度による自主回収システム」構築の解説。②自主回収システム事例集(既に構築されている事例:パーソナルコンピュータ、砥石、廃タイヤ等。検討中の事例:スプリングマットレス、大型電子楽器等)。

(5)産業廃棄物(鉱業廃棄物)・有価発生物の動向調査(循環型社会システム動向調査:経済産業省委託事業)

  産業廃棄物対策を推進していく際の基礎的な情報である業界毎の特性・動向を把握するために、製造業等(製造業、電気業、ガス業)、鉱業の各事業所から排出される産業廃棄物(鉱業廃棄物を含む)・有価発生物の発生・再資源化・最終処分等の状況(平成15年度実績)を工業団体(52団体)、事業者の協力を得てアンケート調査しました。
  その結果、製造業等4,980事業所、鉱業58事業所から回答が得られました。なお、製造業等4,980事業所の結果は、製造品出荷額等でみると61.5%のカバー率に相当し、このカバー率を使用して全体の姿を拡大推計しています。調査結果は、個別企業情報が特定されることのないよう統計的に処理したうえで公開し、各工業団体や企業・事業所の廃棄物・リサイクルに関する自主的な取り組みのフォローアップとして活用されています。  

(6)電気電子機器廃棄物リサイクルに係る先導的知見の調査(特定家庭用機器等再商品化調査:経済産業省委託事業)

 
家電リサイクル法などのリサイクル制度は、従来、自治体が公共サービスとして実施してきた一般廃棄物の処理負担を生産者、小売業者、消費者、市町村に再配分するものであるためにその負担をめぐり新たな利害関係を生じています。従って、リサイクル制度を円滑に運用していくためには、短期的政策目標を設定することなく多様な意見に耳を傾け、それらの研究成果や知見に関する知識ベースを拡大していくことが重要です。そこで、自治体、経済学、工学、環境リスク等の第一線の専門家を講師(早稲田大学:中村教授、東京大学:木村教授、産業技術総合研究所:中西センター長他)に迎え電気電子機器リサイクルに関する先導的知見をご講義頂き、知識の蓄積を図りました。

(7)品目別・業種別リサイクルガイドライン実施状況調査(循環型製品・システム評価研究:経済産業省委託事業)

 
産業構造審議会においては、廃棄物処理・リサイクルガイドラインがまとめられ、事業者が取り組むべき事項の目安が提示されています。これらのガイドラインの有用性を評価するための基礎的な情報を把握するために、対象35品目及び18業種について、生産、再資源化、3R促進の社会システム、主要技術、技術開発等の状況について調査しました。

(8)産業機械における環境配慮設計の現状と課題に関する調査研究(財団法人機械振興協会委託事業)

  様々な産業で活用されている産業機械の環境配慮設計の動向、鉄スクラップを中心とした使用済み産業機械の静脈物流の現状と課題を調査し、情報の共有化・基盤整備、解体性向上のための方策、国際静脈物流に対する基本的な考え方について課題を抽出し、産業機械の環境配慮設計を促進するための検討の方向性を整理しました。
 

2. 環境リサイクル情報センター事業の概要


  循環型社会の構築に必要な専門性の高い体系的な情報を事業者、消費者等にワンストップで提供するために以下の事業を実施しました。なお、実施に当たっては有識者で構成された運営委員会を設置して収集すべき情報、提供方法等に関し助言を得ています。

(1)環境リサイクル情報データバンクの整備(日本自転車振興会補助事業、自主事業)

  産業界、国等の廃棄物・リサイクル(3R)関連の報告書、定期刊行物等を収集して体系的に分類し、資料閲覧室において閲覧者に公開しています。

(2)収集情報の整理、体系化(日本自転車振興会補助事業)

  当センターが収集した多数の報告書、定期刊行物等の中から、必要情報が掲載された文献が容易に検索・閲覧できるように内容を分類・ 整理した「廃棄物・リサイクル情報検索CD-ROM2005」、「リサイクルデータブック2005」、「廃棄物・リサイクル年報」を作成し、関係機関に提供しました。

(3)定期刊行物の作成頒布(自主事業)

 
循環型社会の形成に関する技術及び行政動向等を掲載したクリーン・ジャパン・ニュースレターを年4回発行し、当センター関係者、地方自治体、消費者団体等約1,000カ所に配布しました。

(4)インターネット・ホームページの運営(自主事業)

  当センターの事業概要や調査研究成果の紹介、我が国のリサイクル(3R)施策の動向、リサイクル(3R)の現状に関する統計データやトピックス等、最新情報をいち早く発信するため、平成10年度以来インターネット・ホームページを継続して運営しています。なお、平成16年度のアクセス件数は、約17万件でした。また、小中学生向けホームページを併設し、環境学習に役立つ情報を引き続き提供しています。また、本年度より最新の廃棄物・3R行政動向を簡潔にまとめたCJCバイウィークリー(CJC-BW)を毎週、当センター関係者にメールで配信しています。








クリーン・ジャパン・ニュースレター [No.12]4-5

| back | top | next |
 


Copyright (C) 2005 CJC All Rights Reserved.