cjc | 6月号-3
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容器包装リサイクル法見直しの動向(審議会傍聴記)


 市町村が分別収集・保管した容器包装廃棄物(ガラスびん、ペットボトル、紙製容器包装、プラスチック製容器包装)を事業者が再商品化するという仕組みを定めた容器包装リサイクル法は、平成7年6月に成立・公布され、同年12月の第一段階施行以降概ね10年が経過しました。
  本法は、その附則第3条において施行10年後の見直しを規定しており、これを受けて昨年8月から産業構造審議会廃棄物・リサイクル小委員会容器包装リサイクルWG及び中央環境審議会において10数回にわたり議論が行われてきました。
  本稿は、昨年8月以降本年5月30日に行われた第8回合同会議まで、両審議会の傍聴を通じて得られた情報をもとに、ここまでの主たる議論をまとめたものです。今後、これらの議論を踏まえて中間報告がまとめられ、国民の意見募集(パブリックコメント)を経て今後取るべき必要な処置が決定される予定です。


1. 容器包装リサイクル法の成果、実施状況

(1)法制定時における課題への対応

  法制定時の課題であった最終処分場の残存容量の逼迫については、容器包装廃棄物を市町村が分別収集し、それを容器包装の生産・利用事業者が再商品化するシステムを推進することにより、残余年数の増加(平成7年度:8.5年→平成14年度:13.1年)という形で一定の進展が見られています。しかし、市町村の収集したごみ量及びその中に含まれる容器包装廃棄物の比率はさほど減少していないというデータも提示されています。

(2)国民の意識の向上状況

  本法の施行により、国民が容器包装廃棄物の分別排出に取り組むのみならず、詰め替え可能な製品を選択するなど、リデュースにも一定の進展が見られています。しかし、例えば一部の市町村から引き渡されるプラスチック製容器包装廃棄物ベール(再商品化のために選別・圧縮したもの)の中に規定値以上の異物が含まれている、リターナブル容器のシェアの低下傾向が続いている、マイバック持参が進展していないなど、地域間、市民間の格差もいまだに大きく、今後更に意識の底上げを図るなど、国民意識の向上に向けた取り組みが必要です。

(3)事業者の取り組み状況


  大手飲料・食品メーカーの使用しているガラスびん、ペットボトル、プラスチック容器包装の軽量化、減量化は着実に進展しています。また、一部の大手小売店もレジ袋削減など減量化活動を進めています。
 例:500ml ペットボトル重量:32g→26g、石鹸洗剤業界14社の容器包装に関するプラスチックの使用量は年々減少傾向にある
(95年:72.1千トン→03年:55.7千トン)、スーパーマーケット・コンビニエントストアのマイバック持参運動。
  しかし、市町村の収集したごみ量及びその中に含まれる容器包装廃棄物の比率がさほど減少していないというデータなどを踏まえると、このような取り組みが事業者全体に行きわたってはいないとも考えられます。


2. 主な論点

(1)市町村及び事業者の役割分担について

  市町村は、市町村が分別収集・選別保管した容器包装廃棄物を事業者が再商品化するという仕組みは、市町村が現在約3,000億円(平成15年度。このうち法施行後の追加的な費用は約380億円)費用負担しているのに対して特定事業の再商品化費用は約400億円に過ぎず、不公平なので見直すべきであると強く主張しています。一方、事業者は、①法施行後の追加的な費用で見れば不公平ではない、②市町村の費用の算出方法は各市町村でまちまちで不透明である、③事業者は容器包装の減量化、再商品化に適した設計のためにさらに膨大な費用を要している、④市町村の分別収集・選別保管の効率化の取り組みの具体的な事例が示されていない、などを根拠に現行の役割分担のなかで各主体がもうしばらく努力をすべきであると強く主張し、対立しています。
 このような状況を打開するために、事務局である経済産業省は「現在の役割分担は、今後リサイクルの質の向上等を目指す観点からは、見直しも必要ではないか。」、「資源の有効利用の溜に必要と考えられる分に関して一定の役割を果たすことは考えられないか。」、また、環境省は「分別収集・選別保管に関するコストの一部又は全部を事業者が負担することにより、財政的な負担がネックとなって一部の素材に係る分別収集・選別保管を行っていなかった市町村において、当該素材の分別収集・選別保管が促進される可能性もある。」等の検討の視点・考え方を示しています。

容器包装リサイクル法(役割分担図)
(2)再商品化手法について

  プラスチック容器包装廃棄物の再商品化の義務を負う事業者は、プラスチック容器包装廃棄物の再商品化において材料リサイクルを優先していることに対して強く見直しを求めています。その根拠は、再商品化事業者を決定する入札において、入札金額にかかわらず材料リサイクル事業者を優先しているために競争原理が働かず、材料リサイクルの再商品化費用が極めて高くなっているという事実です。具体的には、
  ①事業者の負担する再商品化費用が、ケミカルリサイクル手法の場合、プラスチック容器包装廃棄物の分別基準適合物1トンについて平均73,000円なのに対して材料リサイクル手法のそれは平均109,300円である、②再商品化工程において残渣が約50%も発生する、③再商品化された原材料(フレーク、ペレット等)を使用した製品の市場拡大に苦慮している、などです。
      また、今後、ますます拡大していくことが予想されるプラスチック容器包装の再商品化量に対して再商品化施設能力も不足しており、このことが原因でケミカルリサイクル手法の再商品化費用も高止まりとなっているので質の高いサーマルリサイクルなど新たな再商品化手法も導入すべきと主張しています。

(3)小規模事業者の取り扱いについて

 
再商品化の義務を負う事業者のうち、小規模事業者については、その義務が免除されていますが、その分に相当する費用は市町村が負担しています。市町村にとってこの負担が大きく、見直しを求めています。

(4)容器包装の範囲、事業系容器包装の取り扱いについて


  クリーニング用の袋などサービスに付随する容器包装廃棄物は、現在、本法の対象物となっていませんが、消費者からはこのような取り扱いは極めて分かりにくいので本法の対象とすべきとの声が上がっています。一方、事務局は、サービス業は小規模事業者が多いので費用徴収コストの面で合理性がなく、事業者の自主的な減量・リサイクル努力に委ねた方が良いのではと提案しています。

(5)紙製容器包装の取り扱いについて


 多くの市町村では、紙製容器包装廃棄物について本法の対象とする必要性を感じておらず、分別収集を実施し指定法人ルート(事業者に代わり再商品化を実施)で再商品化を実施している市町村数は少数です(平成16年度実績:281)。
  この結果、事業者の納めた再商品化委託費のうち約7割が指定法人の事務処理費に充てられています。このような現状を踏まえて、紙製容器包装廃棄物の再商品化の義務を負う事業者は、この再商品化は従来から紙のリサイクルを担ってきた古紙業界に委ねたほうがよいと主張しています。
  これに対し事務局、消費者は、紙製容器包装廃棄物の安定的な再商品化が滞った時に備えて、関係業界にセーフティネットを明確にすることを求めています。







クリーン・ジャパン・ニュースレター [No.12]3-4

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