プラスチックごみを減らそう!
レポーター: 田口理穂さん (2023年 執筆)
ドイツでもプラスチックごみは大きな問題となっています。
食べ物の容器やお菓子の包み紙、レジ袋など、数が多くごみの処理に困っています。プラスチックごみは、川から海に流れ込むなど、自然を汚す原因にもなっています。
増え続けるプラスチックごみ
ドイツでは、
1年間に国全体で570万 t(2021年)※1のプラスチックごみが出ました。
計算すると、一人当たり1年間に68キロでした。
※1:ドイツ環境蓮坊庁 WEBサイト(2023年12月10日に利用)
ドイツでは製品の容器や包装のごみは、製品を作った会社の責任で処理することになっています。
製品の中にごみ処理代が含まれていて、指定の黄色いビニール袋に入れて無料で捨てることができます。
プリンの容器、パスタの袋、牛乳パックなど飲み物の入れ物、空き缶などさまざまなものをまとめて同じ袋に入れます。
この容器や包装関係のごみは、プラスチックのごみ全体の半分をしめます。
ごみの分別は大切
しかし黄色いビニール袋の中に入ったごみをすべてドイツで分別やリサイクルしているわけではありません。
「これはごみでなく、資源だ」といって、別の国に輸出してきました。最近は中国など受け入れを禁じる国が出てきて、受け入れ先が見つかりにくくなっています。
プラスチックごみを輸出しているの?
どのくらいの量?
2021年は77万トンのプラスチックごみを輸出しましたが、2011年はその倍でした。
ペットボトルには25セント(35円)(2023年12月20日現在)のデポジットがかかっています。
専用の機械に入れると、お金が戻ってくるので、ポイ捨てをする人はほとんどいません。もしポイ捨てされてもそれを集めてお店に返しに行く人がいます。
食事のたびにでるプラスチックごみ
どうやってプラスチックごみを減らすの?
ヨーロッパには、ドイツやフランス、ギリシアなど27カ国が加盟するEU(欧州連合)があり、そこでヨーロッパ全体の方針を決めています。
プラスチックごみを減らすために 、EUは2021年7月に指針を出しました。
それによりドイツでも、プラスチック製の使い捨て容器やストローなどを新しく作ること、使うことも禁止としました。(すでにお店に あるものは使ってよいのですが、新しく買うことはできないので、いずれなくなります。)
ドイツでも新型コロナウィルスが広がり、レストランで食べることが禁止となった時期がありました。テイクアウトが増え、公園など外で食べる人も多く、まちのごみ箱は使い捨て容器でいっぱいでした。
使い捨ての 容器 でごみ箱がいっぱい
そのためお店では、コーヒーカップや食べ物の容器を、洗って何度も使えるリユース容器にするところが増えています。
リユース容器の多くはプラスチックですが、何回も使えます。
また使い捨てでも、紙やうすい木片などプラスチック以外の素材を使うところも増えています。
プラスチックごみを減らす工夫はほかにもありそうだね。
マイクロプラスチックという、5mm以下の小さなプラスチックは、さまざまなところに使われています。例えばシャンプーやボディソープにも使われていて、それによりかさを増やしたり、肌ざわりをよくします。しかしプラスチックは 風呂場から下水を通って、いずれ川から海に流れこみます。
小さなものは海中をただよい、時間がたっても分解されないため、ずっと海の中に残っています。海を汚すだけでなく、海に住む生き物が飲み込んだり食べたりして生き物を傷つけることがあります。魚やあざらしの内臓から、プラスチックのかけらが多数見つかっています。私たちは貝を食べますが、内臓を含めて全部を食べるため、貝にマイクロプラスチックが含まれていると、それごと食べることになります。
そのため海の汚染を防ぎ、生き物や人間の健康を守るため、マイクロプラスチックを商品に入れない動きが広まっています。「マイクロプラスチックは使いません」と宣言する会社が年々増えています。
マイクロプラスチックの入っている洗顔剤やはみがき粉
さらに、シャンプーやボディソープのプラスチックの容器にリサイクルの素材を使ったり、詰め替え用を用意する会社が増えてきています。歯ブラシもヤギの毛で、持ち手は木にするなどプラスチックを減らす試みがあります。
また、プラスチックの容器を使わないように、ばら売りのお店が人気を集めています。私のおうちの近くには、果物や野菜、パスタ、お菓子、米、コーヒー、ナッツ、小麦粉、油、洗剤など400種類以上をそろえ、お客さんは袋や入れ物を持って買いに行くお店があります。小麦粉や豆類はレバーを引いて、下に出てくるのを持ってきた容器で受け取ります。牛乳は自分でビンに入れますよ。
必要な分だけ買えるのも便利です。「客が客のために」をモットーに、お客さんが自主的に空きビンや容器を持ってきて置いておくスペースがあるので、容器を持って来なかった人はその空きビンを使えます。
お互いに助かるし、エコですね。
量り売りのお店
スーパーでは30年以上前からレジ袋は有料でしたが、2016年からデパートや洋品店でも買い物袋は有料です。しかも2022年からプラスチックのレジ袋は禁止となり、現在は紙袋か何度も使える厚手の布やビニールの買い物袋が売られています。
ペットボトルをリサイクルして作った買い物袋と、コーヒーを入れたリユースカップを持つ 人
スーパーでは野菜や果物は好きな量だけ、備え付けの薄いビニール袋に入れ、レジで重さを測ってもらいます。けれどトマトやナスビ、みかんとそれぞれに袋を使うと、すぐビニール袋は4、5 枚必要になります。
そこで登場したのが、洗って何回も使える袋です。軽いうえ、細かい網目模様になっていて中が見えます。このような袋を使う人もだんだん増えてきました。
何度も使える袋にリンゴを入れてお買い物
学校でプラスチックをもっと少なく使うことについて
学んでいるかな?
息子の通う学校では6年生の授業で、SDGs(持続可能な開発目標)について3日かけて学び、その中でプラスチックの問題も取り上げました。
SDGsの17分野
子ども向けの科学の催しアイディアエキスポでも、プラスチック汚染は大事なテーマとなっています。プラスチックがいかに増えてきたか、どのような問題を引き起こしているのか、どうやって減らしていけばいいのか、 見る人に考えさせる内容となっています。
プラスチックのごみが増え続けている様子を展示
教育関係の団体や財団が、プラスチックやごみをテーマにした子ども向けの教育プログラムを提供しています。学校では専門家を招いて、環境問題やごみ問題に理解を深めています。
プラスチックごみの問題は、地球全体の課題です。地球をよごさないようにし、資源を大事にし、自然と人類が調和して生きていくこと。一人ひとりが考える必要があります。
地球全体で考えよう