ごみ問題解決に向けた日本の支援
レポーター: 公立中学校 教員 加藤 和美 さん (2021年執筆)
(2017年~2019年当時はJICA海外協力隊のボランティア隊員としてカメルーンに派遣されました)
ごみ問題の解決に日本は何か支援しているの?
ACCP(African Clean Cities Platform)では、日本が中心となり国連やアフリカの国々と協力して、きれいなまちと健康な暮らしを実現するために、ごみの処理や管理に関する支援をしています。
アフリカの人々が、自分たちの力で問題を見つけ、自分たちの力で問題を解決できることを大切に考えた支援を心掛けています。
カメルーンもACCPに参加しています。
カメルーンでは、私のような日本のボランティアは学校や地域の人たちと協力をして、ごみを減らすための授業やワークショップなどを開催し、ごみ削減の環境教育や啓発活動を行っています。
例えばどんなこと?
環境絵日記があります。
環境絵日記は、横浜市資源リサイクル事業協同組合が行っている取り組みです。
小学生が環境問題について家族で話したり、自分で考えたりした内容を「絵日記」に描くことで、環境への関心や気づきを得ることを期待しています。
2019年の夏、横浜市で開催された第7回アフリカ開発会議に合わせ、アフリカの子ども達が描いた環境絵日記を展示することになりました。
その時、私が勤めていたカメルーンの小学校も参加することになりました。
小学校で環境の授業
環境についてグループで話し合う子どもたちの様子
何年生が参加したの?
6年生(約450人)が参加しました。
「私たちが住むきれいで健康な街」をテーマに、環境絵日記を描きました。
環境絵日記を描くカメルーンの6年生
アフリカの子ども達の描く環境絵日記は、気候や地域の問題、家族愛や自然愛を多く取り入れた内容でした。
「私たちが住むきれいで健康な街」を描いたよ!
日本人の私からすると、普段忘れていた大切なことを思い出すような感覚になりました。
また、日本の皆さんにも、カメルーンの子ども達の環境絵日記を見てほしいなと感じました。
このカメルーンの6年生の環境絵日記を見てみよう。
きれいで健康なまちにするために、どんなことを考えているかな?
カメルーンの6年生の環境絵日記
私の学校からはコンテストで選ばれた10枚の環境絵日記が横浜市に送られました。
きっとその環境絵日記たちが日本とカメルーンをつないでくれたのだと信じています。
横浜市で開催された環境絵日記展
また、カメルーンの小学校の校長先生が4枚の環境絵日記を選びました。
それらは小学校の壁画になりました。
子ども達は壁に描かれた絵に興味津々でした。
さらに、環境絵日記に参加できなかった他の学年の子どもたちが環境について学ぶ良い機会になりました。
カメルーンの小学校の壁に描かれた環境絵日記
広げふかめよう |
横浜市資源リサイクル事業協同組合
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加藤さんはどうしてカメルーンに行ったの?
私は、日本だけではなく世界のことについてもっと知りたい!現地に行って体験して感じたい!と思いました。そこで、JICAボランティアに応募しました。
その後、カメルーンに派遣され、小学校で環境を守る大切さを伝えました。
しかし、カメルーンに来て驚きました。
「環境問題」というと日本の皆さんは何を思い浮かべますか?
地球温暖化、オゾン層の破壊かなぁ。
ごみ問題、公害もあるね。
カメルーンの小学生からは、こんな答えが出ました。
まちにごみを捨てること
植物の世話や管理をちゃんとしないこと
トイレを外ですること
日本の小学生とは少し違う答えでした。
カメルーンでは、まちにごみを捨てることが当たり前だったね。
どうして日本と違うのかなぁ?
私は、地域には地域の課題があることに気が付きました。
大切なことは“地域の環境問題”の解決だと思いました。
そこで、「ごみのポイ捨てを防止する」ために、カメルーンの小学校で授業をしました。
子どもたちにこんな質問をたくさんしました。
なぜごみをポイ捨てしちゃいけないの?
ごみはどのように捨てるのがいいの?
ごみを捨てているお友達がいたらどうする?
どうやってごみを減らす?
どんなごみを捨てている? ごみを分析してみよう!
さらに、ごみの分析をしたり、日本のようなごみ捨て当番を決めたり、ごみ新聞を作ってクラスで発表してみました。
ごみ当番はぼくもやっているよ!
ごみを減らす方法をみんなで考えて、行動して何か変化したことはあった?
ごみのポイ捨てを注意する場面に出会うことが増えました。
また、ボロボロになっていた学校のごみ箱を、学校の中にある材料で手作りしました。
今までのごみ箱
新しいごみ箱
私たちに出来ることを教えてください!
ひと工夫で遊びの天才を目指そう!そして、3R名人になろう!
遊びの天才?
カメルーンの子ども達はサッカーが上手です。
しかし、みんながみんなサッカーボールを持っているわけではありません。
では、サッカーボールを持っていない子ども達は何を使ってサッカーをしているでしょうか?
タオルかな?
正解は、ペットボトルです。
まだあります。
チームのユニフォームがない子ども達は、どのようにチーム分けをしているのでしょう?
腕にリボンをつける!
正解は、服を脱いだり、服を逆に着て、チームがわかるようにしているのです。
ものがないから、遊べない。物がないから買ってもらう。
それは日本では当たり前のことかもしれませんが、カメルーンでは当たり前ではなかったのです。
それでも、子ども達は笑顔でペットボトルを追いかけていました。
ちょっとした工夫で、遊びは作れるんです!
無いならあるもので作ればいい!
これが、カメルーンの子ども達の考え方です。
これって、3Rの考え方に似ていますよね。
リデュース、リユース、リサイクルのどれかなぁ?
ものであふれている日本なら、代用も簡単にできるはずです。
新しくものを買わなくても、今あるもので作ってみませんか??
そして、3R名人を目指してみませんか?