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cjc | 3月号-2
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リサイクル技術開発本多賞は、長年廃棄物リサイクルの分野に携わってこられた故本多淳裕先生(元大阪市立大学工学部教授、元(財)クリーン・ジャパン・センター参与)のご厚意に基づき、リサイクル技術開発に従事する研究者・技術者等への研究奨励を目的として平成8年度に創設されたものです。
平成21年度リサイクル技術開発本多賞には、研究報文4件と技術報文6件の計10件の応募があり、その中から下記の研究報文、技術報文各1件が選定されました。平成22年1月28日(木)、阪急ターミナルビル(大阪)で表彰式が行われました。受賞報文の概要は以下の通りです。
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1. 研究報文
「オゾンを用いた塩素含有プラスチックの分離」 西嶋 渉 氏 広島大学環境安全センター
容器包装プラスチックや自動車破砕くずなど他種類のプラスチックの混合物をリサイクルする際には、再生・熱利用過程で発生する塩化水素やダイオキシンのソースとなる塩素含有プラスチックを除去する必要がある。現状の除去方法としては比重分離が用いられており、比重が小さいポリプロピレンやポリエチレンがリサイクルに回る一方で、半分近くを占める比重が大きなプラスチックは塩素含有プラスチックとともに残渣として取り扱われてきた。
本研究論文は、塩素含有プラスチックにのみ存在する塩素基に着目した。プラスチック表面は疎水性であるが、塩素基をオゾンで選択的に酸化・親水化することによって、塩素含有プラスチックのみ親水化することに成功した。オゾン処理した混合プラスチックを浮遊選別にかけると、親水性表面に改変された塩素含有プラスチックは気泡がつきにくく、比重が大きいため沈降し、疎水性表面を持つその他のプラスチックは気泡が付着し浮上し、塩素含有プラスチックのみを選択的に分離できた。
この技術を自動車破砕くずに適用すると比重分離後の約10%の塩化含有プラスチックを含む残渣から、回収率約80%で塩素含有量約0.4%のプラスチックが得られた。この開発技術は、様々な混合プラスチックから塩素フリーのプラスチックを回収できることから、これまでリサイクル困難物として取り扱われていた混合廃プラスチックの資源化に寄与することが期待される。
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2. 技術報文
「高勾配磁気分離機によるFCC廃触媒削減技術」 迫田 尚夫 氏 新日本石油株式会社 研究開発本部 中央技術研究所
FCC(Fluid Catalytic Cracking)装置とは、接触分解により重質油から主としてガソリンを生産する装置であり、近年のFCC装置は原料油に中東系残油を用いている。中東系残油のFCC処理においては、原料油中のニッケル、バナジウム(以下Ni,V)などの重金属が触媒上に堆積し、触媒の活性および選択性を著しく低下させるため、触媒の一部を新触媒と定常的に交換して、FCC装置内触媒(以下平衡触媒)の活性および選択性を一定のレベルに維持している。近年の原料油重質化傾向により、より多くの平衡触媒を新触媒と交換する必要があるため、FCC装置からの廃棄触媒量は年々増加している。
本技術は、平衡触媒中の劣化した触媒粒子のみを磁気を利用して分離することにより、新触媒および廃棄触媒の使用量を約30% 削減するものである。当該FCC装置では年間600トン以上の廃棄触媒量を削減でき、FCC装置の性能を変化させることなく、年間600トン以上の製油所排出物削減に貢献している。
現在、日本国内では約25基のFCC装置が稼動しており、触媒は年間約25,000トンも使用されている。NiやVなどの重金属が堆積した廃棄触媒も同量が製油所から排出されている。これら全てのFCC装置で30%の触媒削減が実現できれば、日本国内で年間約7,500トンもの触媒使用量削減および同量の製油所排出物量削減につながる。
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財団法人クリーン・ジャパン・センター(CJC)では、平成22年度「資源循環技術・システム表彰」の候補募集を開始しました。
本表彰は、廃棄物の発生抑制(リデュース)、使用済み物品の再使用(リユース)、又は、再生資源の有効利用(リサイクル)に寄与する、技術的又はシステム的特徴を有する優れた事業・取組みを広く募集し表彰することにより、その奨励・普及を図ることで循環ビジネスを振興することを目的としております。賞の種類は、経済産業大臣賞、産業技術環境局長賞、CJC 会長賞、奨励賞(実績3年未満のものが対象)があります。
募集対象は、例年と同じく、企業その他の事業団体が実施する(1)再生資源の有効利用事業(2)使用済み物品の再使用事業(3)副産物・廃棄物の発生・排出抑制(4)副産物・廃棄物の減量や再生利用又は再使用に係わる技術・装置・システムの開発事業(5)資源循環型製品の開発・普及事業(6)その他(前記の複数分野に亘る総合的な取組み等)などです。
本表彰制度は、昭和50年から始まり平成22年で36回目になる歴史ある表彰制度で、これまで多岐の分野から932件の応募があり総表彰件数523件(経済産業大臣賞22件)と技術・システム開発に関する取組みを側面から支援してきました。
平成22年度募集については、3月10日募集開始し5月21日締切り、有識者にて構成する審査委員会で厳正な審査を実施いたします。
表彰式は10月8日科学技術館サイエンスホールにて催行される予定です。
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当センターでは、独立行政法人国際協力機構(JICA) から委託を受けて、11月10日から12月4日の約1ヶ月間JICA 集団研修「廃棄物3R・再資源化」(A)コースを実施しました。
本コースは海外諸国の政府または都市ごみ行政に携わる実務者を対象として、日本の廃棄物問題対策の歴史を含めた関連法体系、3R推進施策、産業会や自治体の取組についての講義及び廃棄物処理施設やリサイクル施設・工場の視察、経済産業省・自治体・NPOとの交流等を通して、研修参加者の自国での改善計画(アクションプラン)策定を自らが行うことを目標としています。講師、見学先関係各位、交流先の方々のご好意・ご協力により有意義な研修ができ、研修参加者から高い評価をいただき、帰国していただきました。
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▲視察先での質疑・応答 ((株)小田急ビルサービス:食品廃棄物の資源化) |
▲区のごみ回収を視察(東京都目黒区) |
研修参加者:9名(ベリーズ、ブラジル、メキシコ、モルドバ、モンゴル、フィリピン、マケドニア)
なお、講義、視察等にご協力いただいた団体、企業等は次のとおりです。
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(講義・視察順・敬称略) |
■講 義 協 力: |
経済産業省、(財)日本環境衛生センター、東京二十三区清掃一部事務組合、日立造船(株)、(財)家電製品協会、グリーン購入ネットワーク、(財)自動車リサイクル促進センター、(財)日本容器包装リサイクル協会、(財)日本産業廃棄物処理振興センター、3R推進団体連絡会、品川区清掃事務所、NPO法人 埼玉エコ・リサイクル連絡会 |
■視察等協力: |
東京二十三区清掃一部事務組合(新江東清掃工場、中防埋立処分場)、(株)国分商会、太平洋セメント(株)、JFE環境(株)、JFEアーバンリサイクル(株)、(株)日本リサイクルマネジメント、JFEエンジニアリング(株)、高俊興業(株)、サッポロビール(株)千葉工場、(株)井上、(株)中田、世田谷区資源循環センター、(株)啓愛社、(株)小田急ビルサービス、目黒区環境清掃部清掃リサイクル課 |
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当センターでは、「3Rシステム化可能性調査」(経済産業省委託事業)の一環として、昨年12月10日~ 12日の3日間、東京国際展示場(東京ビッグサイト)で開催された環境配慮製品の総合展示会「エコプロダクツ2009」に出展しました。
会期中、当センターブースでは、同調査事業の採択案件の中から以下の5テーマの検討内容について、パネル展示・資料配布等によりPRを行いました。
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- ■合わせガラスのリサイクルに関する調査研究((財)製造科学技術センター)
- ■樹脂サッシの廃棄状況の実態やリサイクルのために必要な技術や仕組み等に関する調査(日本資源技術(株))
- ■製鋼スラグの全量高炉循環システム構築に係る調査(JFEテクノリサーチ(株))
- ■超硬工具スクラップの回収促進事業(三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))
- ■ASR再資源化技術開発等の可能性及び使用済自動車由来のガラス・バンパーのリサイクルの現状調査((財)日本生産性本部)
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当センターでは、さまざまな容器包装のリサイクルの流れを学べる「3R学習 容器包装リサイクル教材」の貸し出しを行っています。このたび内容をリニューアルした新しい教材が出来ましたので、学校や地域での環境学習にご活用下さい。
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下記8品目の容器包装と、それぞれの元になる天然資源、使用済み容器包装から作られた再生材料、リサイクル製品等の実物サンプルが入っています。
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教材の使用説明書、各品目の生産→使用→廃棄→リユース・リサイクルの流れを説明したフロー図、3Rに関するキーワードや写真、イラスト等のフリップ、事前学習用ワークシート等の資料・補助教材が入っています。
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上記8品目のサンプル、説明資料、補助教材が下のようなプラスチックBOXに収められています。
大きさ 幅66cm×奥行44cm×高さ32cm
重 さ 約12kg
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貸出に伴う費用
貸出料金は無料ですが、往復の送料はご負担下さい。
申し込み方法
当センターホームページの「3R学習教材の紹介」コーナーから貸出申込書をダウンロードして下記にFAXでお送り下さい。
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