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平成17年度リサイクル技術開発 本多賞表彰式
 平成17年度リサイクル技術開発本多賞として、「廃棄物処理と再資源化の産業連関分析」及び「アルミニウムスクラップ溶湯中の微細介在物除去における高効率フィルタ-の開発について」の2報文が選ばれ、1月27日に大阪で表彰式が行われました。


1. リサイクル技術開発本多賞

 リサイクル技術開発本多賞は、長年廃棄物リサイクルの分野に携わってこられた故本多淳裕先生(元大阪市立大学工学部教授、元(財)クリーン・ジャパン・センター参与)のご厚意とご提案により、   リサイクル関連開発に従事する研究者・技術者等への研究奨励を目的として平成8年度に創設されたもので、以来回を重ね、平成17年度で10回目の表彰となりました。

2. 選考経過

 リサイクル技術開発本多賞は、受賞対象報文を公募し、応募のあった報文について、当センター内に設置した選定委員会で厳正に審査を行ったうえで決定されています。
  平成17年度については、平成17年7月1日~9月20日まで報文の公募が行われ、この期間内に10件(研究報文7件及び技術報文3件)の応募があり
  ました。この10件について、当センター内に設置された選定委員会において、報文評価、業績評価、推薦者評価を踏まえて厳選なる審査が行われ、標記2件の受賞報文が決定されました。

3. 表彰式

 表彰式は、平成18年1月27日、阪急グランドビル(大阪梅田)において行われ、受賞者に対して表彰状及び副賞が授与されました。

 

また、表彰に引き続き、受賞者による発表が行われました。
(表紙写真)


4. 受賞報文の概要


 平成17年度リサイクル技術開発本多賞を受賞した報文の概要は次のとおりです。    

【研究報文】「廃棄物処理と再資源化の産業連関分析」
中村愼一郎氏(早稲田大学政治経済学術院)
 LCAの手法としては従来「積み上げ法」が用いられてきたが、背景データ整備の費用・システム境界設定の恣意性などの問題から、産業連関分析を併用した「混合(ハイブリッド)法」が急速に普及しつつある。然るに、産業連関分析は、本来、製造段階の把握を目的として開発された手法であるので、その限りにおいて残りのライフサイクル構成要素である使用・廃棄段階を適切に考慮していない。産業連関分析を用いた使用段階の考慮が容易であるのに対し、廃棄段階の考慮は単純な場合を除いて基本的に困難であった。それは、産業連関分析が生産と消費に付随する廃棄物フロー及びその処理活動を明示的に考慮していない事に依る。産業連関分析の創始者(ノーベル賞受賞者) レオンチェフは、1970年に「公害産業連関モデル」を開発している。しかし、このモデルが扱えるのは、硫黄酸化物に対する脱硫の様に汚染物質と対策技術が一対一対応関係にある特殊な場合に限られる。一般的廃棄物処理では、この対応関係が成立しない。この背景の下、動脈部門と静脈部門の間の廃棄物フローを整合的に把握する勘定体系として「廃棄物産業連関表」を、これを用いた解析を行う数学モデルとして「廃棄物産業連関モデル(WIO)」を提案し、我が国についての応用事例を示した。産業連関分析による製品全ライフサイクルの評価が可能になったのである。今後、WIOが我が国発の基本的混合LCA手法として内外を問わず普及する事が予想される。

【技術報文】「アルミニウムスクラップ溶湯中の微細介在物除去における高効率フィルタ-の開発について」
グル-プ応募 代表者 柳川政洋氏(株式会社神戸製鋼所 アルミ・銅カンパニー技術部基礎研究室)
 アルミニウム溶湯中には、主として酸化物からなる介在物が多く含まれ、介在物が製品であるアルミニウム展伸材に混入すると機械的性質の劣化や表面きず等の製品欠陥が発生する。特にスクラップを再生溶解する際には、介在物が多量に発生することが判っており、従来フィルターではアルミニウムスクラップ溶湯中の介在物の除去率は40~50%であり、かつ20μm以下の微細な介在物を除去することが困難で、スクラップ再利用のための大きな障害となっていた。アルミニウムを循環型社会に生きる材料とするためには、革新的な新ろ過技術の開発が望まれていた。そこで、「表面ろ過機構」のみの現状のフィルタ-に対し、フィルター骨材表面に臭化ナトリウム等の「粘着剤」を塗布する ことにより、新たに「内部ろ過機構」を付与し、従来工程をまったく変更することなく、かつ同一のフィルターで「表面ろ過機構」と「内部ろ過機構」の両機構を併せ持つ新フィルター構造を考案した。本技術により溶湯中の介在物は90%以上の大幅な除去が可能となり、更に従来技術では不可能であった10~20μmの微細な介在物の除去も可能となった。
  本技術は実機レベル条件(20ton/ch.)でのろ過試験により、品質、コスト両面から実用化が可能であることを実証している。更に、展伸材以外にも広く適用が可能なため、アルミニウムスクラップ全体のリサイクル性向上に著しく貢献できるものである。

平成18年度CJC事業計画

 当センターは、企業、消費者、行政等、社会の構成員が共通の認識の下に連携して循環型社会を構築していくため、廃棄物の発生抑制・リサイクル(3R)に関する「調査研究事業」、「情報提供事業」、「啓発・普及事業」を行うとともに、国等が公募する技術開発事業へも適宜応募するなどの事業を展開していきます。

調査研究事業

 企業、消費者、行政等が廃棄物の発生抑制・リサイクル(3R)に関する施策を立案し、実行するに際しての基礎的な情報を提供することを目的として、循環型社会構築に役立つ社会システム・技術に関する調査研究を実施し、その成果を普及する。
  (1)3Rシステム化可能性調査事業(経済産業省委託応募)
  (2)事業者の3Rへの取組状況調査(経済産業省委託応募)
  (3)循環型社会システム動向調査〔産業廃棄物等動向調査〕(経済産業省委託応募)
  (4)電気電子機器廃棄物リサイクルに関する先導的知見の調査(経済産業省委託応募)
  (5)高度資源循環技術の開発状況調査(日本自転車振興会補助)
  (6)新規資源循環型社会システムの形成に関する調査研究(日本自転車振興会補助)


情報提供及び啓発・普及事業

 廃棄物の発生抑制・リサイクル(3R)に関する技術、社会システムの調査研究等を通じて多くの情報を収集し、その成果を踏まえて情報提供、啓発・普及事業を行っている。さらに、循環型社会の形成に向けて具体的対策の実践が求められる今日、平成12年度に開設した「環境リサイクル情報センター」を中心に、今年度も昨年度に引き続き、ますます高度化・専門化の進んでいる再資源化技術、社会システムに関する情報収集・提供機能をなお一層拡充させる。また、廃棄物の発生抑制・リサイクル(3R)の啓発・普及事業は内容の充実化を図りつつ引き続き推進する。

◯環境リサイクル情報の提供事業

  (1)「環境リサイクル情報センター」事業
    専門性の高い情報の収集及び事業者、消費者等への体系化された情報の提供を行う。
     ・資源循環データベースの構築(日本自転車振興会補助)
     ・データブック、パネル等の制作・提供(日本自転車振興会補助)
     ・コンサルティング(自主事業)
     ・資料閲覧室の整備、一般公開(自主事業)
     ・情報提供誌「クリーン・ジャパン・ニュースレター」の発行(年4回)(自主事業)
     ・クリーン・ジャパン・センターホームページの運営(自主事業)
     ・小学生、中学生向け環境リサイクル学習ホームページの運営(自主事業)
  (2)資源循環技術研究発表会の開催(日本自転車振興会補助)
  (3)事務局運営
     ・リデュース・リユース・リサイクル推進協議会
     ・溶融技術研究会
◯啓発・普及
  (1)資源循環技術・システム表彰(自主事業等)
  (2)地域3R支援(経済産業省委託応募、自主事業)
  (3)3R関連普及・広報事業(自主事業等)
  (4)展示会への出展(自主事業)
  (5)リサイクル技術開発本多賞(自主事業)
  (6)国民・事業者・自治体・国の連携強化推進事業(自主事業)
◯国際交流
   廃棄物の発生抑制・リサイクル(3R)は世界各国共通の課題である。このことを踏まえ、各国との情報交換を活発化し、特に、 日本の施策、実情の海外向け発信に努める。
  (1)海外3Rビジネス支援のための情報収集・提供(日本自転車振興会補助)
  (2)JICA研修生受け入れ(JICA委託応募)


技術開発事業

 技術開発投資は、循環型社会構築のために不可欠な新社会資本である。このことを踏まえ、事業を実施する。

◯再資源化技術開発公募案件への応募

  NEDO委託事業等で培ったプロジェクト管理能力を基に協力企業のニーズをとりまとめ、国等の新規公募案件に適宜応募する。




クリーン・ジャパン・ニュースレター[No.15]2

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