ドイツのごみを減らすくふうや取り組み
レポーター: 田口理穂 さん (2016年執筆)
学校ではどんなくふうや取り組みをしているの?
ドイツでは、ごみの分別に力を入れています。
息子の通う小学校では、教室で1.普通ごみ 2.古紙 3.容器包装(プラスチック、缶など)の3種類に分けています。それぞれ、白、青、黄色のごみ箱で、一目でわかるようになっています。
1.普通ごみ
鉛筆削りやちり紙など。
2.紙
古紙やプリントなどです。
3.容器包装
学校に休み時間に食べるおやつを持ってくるのですが、そのときの包み紙や飲み物の缶、ヨーグルトの容器などが容器包装になります。
日本ほどではありませんが、最近はひとつずつ包装しているものが増えてきたので、ごみも増えつつあります。
学校では1年生のときから、ごみの分別やリサイクルについて習い、家庭でもするようしどうされます。ごみを減らすことは、資源を無駄にしないことです。希望する学校では、ハノーファー清掃公社がごみについての出張授業もしています。
ごみは、分けて捨てます
クラスには、ごみ係りがいます。
ごみがまちがいなく分別されているかチェックしたり、ごみ箱がいっぱいになったら校庭にある大きなごみ箱に捨てに行きます。3年生になっても、ときどきまちがってすてている子がいるそうです。
校庭のすみにある大きなごみ箱。左から紙、容器包装、普通ごみ。
3年生の子どもたちにうちでごみの分別をしているかきいたところ、20人中18人がしているとの答えでした。「うちでは、小さいころからきちんとしているよ」と話す子もいました。
幼稚園にあるごみ箱。ごみの種類を、写真を使ってわかりやすく表わしています。
地域ではどんなくふうや取り組みをしているの?
地域では、自治体や企業、環境団体が協力してごみを減らす運動をしていますが、日本ほどさかんではないようです。それでも年に一度ごみ拾いの日があり、ハノーファー清掃公社のよびかけで企業や学校が登録し、いっせいにごみ拾いをします。2016年は9200人が参加しました。
参加者に応じて、ハノーファー清掃公社が福祉施設に寄付をするしくみになっています。
環境団体の中には、新聞からリサイクル紙をつくる体験授業を実施しているところもあります。
古新聞をもとに、自分だけの紙をつくります。
また、ハノーファー市ではカーフリーデーやソーラー祭りなど、環境関係のさまざまなもよおしが開かれ、多くの環境団体や市民が協力しています。
リサイクルやごみ減量についての情報コーナーもあり、楽しみながら学べるようになっています。
ごみについての情報コーナー
外のもよおしものでは、なるべく使い捨てでなく、リユースのコップや皿を使うようにしています。
移動式の食器洗い機があり、使った食器はその場で洗えます。大量のごみが出ることもなく、とても便利です。
移動式の食器洗い機
学びをサポートするくふうや取り組みは?
ハノーファー市には、ドイツでもっとも充実した市営の環境教育施設・学校生物センターがあります。幼稚園児から高校生を対象に、植物や動物、自然保護、エネルギー、ごみなどさまざまなテーマについて、五感を使った体験学習ができるようくふうされています。
ごみについては、コンポストがあります。
バケツのコンポスト。どのコンポストが一番早く分解するのか実験中。
落ち葉、ワラ、枝、針葉樹の葉、草、新聞、プラスチックなど素材ごとにバケツに入れ、1年、2年、3年、4年とおいて比較します。プラスチックは4年経ってもほとんど減りませんが、ワラや落ち葉はどんどん減っていきます。中でも一番減りが早いのは、プラスチック以外のものを全部混ぜたバケツ。つまり、自然界のようにいろんなものが入っていると、一番分解が早いのです。自然はうまくできていることが、よくわかります。
どうしてドイツは環境意識が高いといわれているの?
ドイツ人は森を散歩したり、自然を身近に感じることが大好きです。
日曜日はスーパーやデパートなどお店は閉まっているので、家族や友達と自然の中でのんびり過ごします。
学校は基本的にお昼までで、受験はなく、小学校から大学まで学費はかかりません。授業では、自分の意見をいうことが大事です。
仕事をしている人も夏は3週間、冬は2週間休みを取ります。しゅみやボランティアを楽しんだり、環境意識が高いのは、自分でじっくり考える時間があるからかもしれません。
地球を大事にすることは、自然を守り、あるものを大切にすること。
だから、ごみを減らすことや出さないようにすることは、最初の一歩です。
みなさんが大きくなったとき、どのような社会になっているのでしょうか。
それは、みなさんにかかっていますよ。
学校生物センターで育った花