cjc | 12月号-2
平成23年度「資源循環技術・システム表彰」表彰式を挙行
10月13日、菅原郁郎 経済産業省産業技術環境局長、渡邊厚夫 経済産業省産業技術環境局 リサイクル推進課長、中村崇 審査委員長(東北大学多元物質科学研究所・教授)ご列席のもと「資源循環技術・システム表彰」表彰式を千代田区立内幸町ホールにて行いました。
この表彰制度は、当センターが経済産業省の後援を得て実施しているもので、廃棄物の発生抑制、使用済み物品の再使用、再生資源の有効利用に資する、技術的またはシステム的な特徴を持つ事業や取組を広く募集し表彰することにより、その奨励・普及を図ることを目的としています。
今年度は17件の応募があり、厳正な審査の結果、経済産業大臣賞1件、経済産業省産業技術環境局長賞2件、当センター会長賞6件について表彰いたしました。なお、奨励賞は今回、該当者がいませんでした。
受賞テーマ及び各受賞者は以下のとおりです。詳細は、当センターホームページ「平成23 年度「資源循環技術・システム表彰」」表彰概要をご覧ください。
http://www.cjc.or.jp/modules/news/article.php?storyid=238
Ⅰ 経済産業大臣賞
番号 受賞企業名 受賞テーマ
1 ソニー株式会社 廃光学ディスクの家電製品への有効利用技術の開発
Ⅱ 経済産業省産業技術環境局長賞
番号 受賞企業名 受賞テーマ
1 マツダ株式会社 市場損傷バンパーから新車のバンパーへのリサイクル
株式会社サタケ
高瀬合成化学株式会社
2 株式会社リコー フィルム片を用いたドライ洗浄技術および装置の開発
Ⅲ 財団法人クリーン・ジャパン・センター会長賞
番号 受賞企業名 受賞テーマ
1 環境テクノサービス株式会社 建設発生土のリサイクル
2 株式会社 真人 廃石膏ボードのマテリアルリサイクル事業
3 株式会社岩井化成 廃ポリエチレンのリサイクル循環システムの構築
4 ナカバヤシ株式会社 機密文書の出張細断サービス
5 横浜ゴム株式会社 研究本部研究部 空気入りタイヤにおけるインナーライナーゴム使用量低減
6 シャープ株式会社 自己循環型マテリアルリサイクルが可能な バイオプラスチックの開発
<経済産業大臣賞受賞テーマの概要>
光学ディスク(CD、DVD、BD)に使用されているポリカーボネート樹脂(PC、ポリカ)は、元々分子量が極度に低い特殊グレードであるため機械的な強度は低く、家電製品の構造材料としての有効利用は非常に困難です。また、廃光学ディスク上の塗装膜等の異物混入により、ディスク to ディスクの水平リサイクルも難しく、通常は焼却や埋め立て、もしくは要求特性の厳しくない用途へのカスケードリサイクルが一般的です。受賞者はこれまでの難燃剤に取って代わる可能性のある新規硫黄系難燃剤を開発し、さらにディスク製造工場で排出される成形時の端材又は廃光学ディスクをケミカル処理することにより得られる塗膜剥離品を樹脂原料として用いて各種添加剤を最適ブレンドすることによって、家電製品に利用可能な難燃再生PC樹脂を開発しました(廃光学ディスクのアップサイクル)。これにより、従来はバージンPC樹脂やバージンPC/ABSアロイしか使用されていなかった家電製品の筐体部や精密部品への再生プラスチックの適用が可能となりました。
従来のバージン難燃PC樹脂やバージン難燃PC/ABSアロイと比較すると、
①再生材含有率:10% (デジタルカメラ)~99%(液晶TV)
②樹脂に関わるCO2 の発生量:同等以下
③耐熱性:同等~40℃向上
④難燃性:従来品と同等レベル
⑤耐久性:数倍向上(対加水分解性、熱履歴)
⑥材料価格:安価
再生PC樹脂の難燃化
<経済産業省産業技術環境局長賞受賞テーマの概要>
プラスチックバンパーは70年代から採用されるようになりましたが、損傷バンパーは埋め立てられたり、焼却処分されたりしていました。自動車メーカー全体としても、市場損傷バンパーを全国の販売会社から回収し、自社の製品にリサイクルすることを始めましたが、当時は塗膜を高いレベルで除去できる技術がなかったため、各社共、この市場損傷バンパーを塗膜付きのまま再生して、アンダーカバー等の要求品質の低い部品に適用していました。受賞者等は投資・コストで有利な機械式をベースとして、光学選別技術を組合せることで、99.9%以上の塗膜除去率を達成し、従来法ではできなかった新車のバンパーへのリサイクル(約30%混入)を可能にしました。
市場損傷バンパーから新車のバンパーへのリサイクルプロセス
従来、複写機等の使用済みユニットの部品を分解・清掃して再生ユニットに利用するリユース工程では、水と界面活性剤を用いた洗浄が行われており、廃液が廃棄物となっていました。
また、プリント基板の自動はんだ付け工程で用いる治具の洗浄工程では、有機溶剤を用いた洗浄が行われ廃液が廃棄物となっており、処理量の増加に伴い発生する廃液の量が増加していました。しかも洗浄前の溶剤浸漬工程や洗浄後の乾燥工程に時間を要するために工程のリードタイムが長く、処理効率がよくありませんでした。受賞者は水や溶剤の代わりに樹脂フィルム片を洗浄媒体とする乾式の洗浄技術及び装置を開発しました。この技術の主な特長としては、(a)フィルム片の面接触やエッジ接触の作用により、汚れを効率的に掻き取るため、従来法に比べて洗浄効率が高く、短時間での処理が可能で、また(b)フィルム片を装置内で循環再利用するためランニングコストが低く、発生する廃棄物もごく少量に抑えることができます。
使用済み部品のリユース工程
自動はんだ付け工程で用いる治具の洗浄工程
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