タングステン含有スクラップの リサイクル技術開発(日本新金属株式会社)
我々は、タングステン含有スクラップを対象とした4 件のリサイクル技術を開発し、従来処理できなかった大型のスクラップ塊や油分・水分を含むスラッジ等の酸化焙焼処理を可能とした。
我々は国内で唯一のタングステン製錬工程を有し、使用済みの超硬工具等をタングステン原料に再生することにより、国内での資源循環を進めている。使用済みの超硬工具等のタングステンスクラップのリサイクル工程では、最初に酸化焙焼処理が必要であるが、これまでは酸化焙焼処理が困難なスクラップ等は、処理技術を有していなかったため、リサイクルができなかった。
そこで次の4 件のリサイクル技術(図1)を開発し、タングステン含有スクラップのリサイクル処理能力を50%引き上げた。(平成29年11月設備稼働)
(1)大物固形スクラップの効率的な破砕技術の開発
加熱、急冷により対象物を脆化させ、破砕することで小塊化。
(2)焼き嵌め、ロウ付けスクラップの鉄材との分離技術の開発
高周波加熱や電気炉を使用して、焼き嵌め、ロウ付けスクラップから鉄材を分離。
(3)含水・含油研削スラッジの直接酸化焙焼炉の開発
乾燥・脱油工程等が不要の含水・含油研削スラッジ直接酸化焙焼炉を開発(図2)
(4)脱バインダーのための塩化鉄処理装置の開発
高バインダー(高コバルト)スクラップを塩化鉄処理しコバルトを溶解分離。
脱バインダー後のスクラップは表面積の大きい鱗片状となり、酸化焙焼効率が大幅に向上。
図1 新たに開発したリサイクル処理技術
図2 含水含油研磨スラッジ処理設備概要