リチウムイオン電池の高度リサイクル（本田技研工業株式会社、日本重化学工業株式会社）
本田技研工業株式会社（東京都）
日本重化学工業株式会社（東京都）
我々は、廃リチウムイオン電池を焼却することなく分離回収した後、正極に塗布されているニッケル・コバルト酸化物を基材のアルミニウムとともに溶融還元することによってニッケル・コバルトの合金を得（アルミニウムはAl2O3として分離）、これを水素吸蔵合金の原材料に直接利用する方法を確立した。
リチウムイオン電池は、可燃性の有機溶媒や空気中の水分により腐食性の有害ガス（フッ化水素）を発生する電解質が用いられ、さらに使用済みのリチウムイオン電池は、残電荷を有しているなど処理困難物である。リチウムイオン電池の正極は、コバルトなどのレアメタルを含んでいるが、その量は少なく、また市場価値のあるコバルト単体へリサイクルするためには煩雑で高コストな処理工程が必要であるため再資源化が進んでいない。
我々が確立した方法は、従来法よりも安価にレアメタルを回収・有効利用できる可能性がある。また本法では、処理設備のコンパクト化が可能となることから、リサイクル事業者が参入しやすくなり、輸送費削減、および輸送に伴い排出されるCO2 排出量の低減も可能となる。さらに電解液を焼却せず構成部材を回収することで腐食性ガスによる設備ダメージも防ぐことができる。本法は、将来的な供給不安が懸念されるコバルト等を国内で循環させことを可能とし、環境負荷も抑えることができる優れた技術である。
