炭素熱還元法による磁石工程内スラッジからの希土類リサイクルプロセス(日立金属株式会社、日本重化学工業株式会社)
日立金属株式会社(東京都)
日本重化学工業株式会社(東京都)
Nd-Fe-B系焼結磁石(希土類磁石)は、高効率化、軽量化が求められる自動車、産業機械、電機・電子機器のモーターなどに多く使用されている。省エネルギー化が進められる中で、今後も希土類磁石の使用が増え、生産量の増加が見込まれる。それに伴い、原材料である希土類元素の使用量が増加し、一方で、製造過程で発生する希土類元素を含むスラッジが増加する。
従来は、スラッジから希土類元素を回収するために、スラッジを焼成し、鉄を酸に溶けにくい状態にした後、酸に溶けやすい希土類元素のみを抽出する湿式法が用いられていたが、多量に酸、アルカリを使用する上にホウ素を含有する廃水が生じるなどの課題があった。また、希土類元素の回収後の残渣(残りかす)には、鉄分が多く含まれる(スラッジ固形分の約70%)にもかかわらず、利用されずに産業廃棄物として埋め立て処理となっていた。
そこで我々は、焼成スラッジを鉄鉱石に見立てて炭素とともに加熱することにより、希土類元素をスラグとして、鉄を銑鉄として回収することで、酸やアルカリの使用を極力減らし、鉄分を銑鉄(有価物)として再利用できる炭素熱還元法を開発し、リサイクル事業を開始した。